さて、時間がなくて、映画関係の話題をさぼってました。
ちなみに、「さぼる」の語源は「サボタージュ」。
「サボタージュ」の語源は「サボ」。
「サボ」とは主に昔の労働者が履いていた木靴。
産業革命時に労働者が待遇改善を要求して、機械に木靴を投げ
込んで壊したんだそうです。
で、全面ネタバレ第2弾。
「リンダ リンダ リンダ」です。
良くできた映画です。
冒頭。
素人女優の独白。
デジカメでの文化祭記録です。
これは中盤にも出てきて、パーティションの役割を果たします。
もっともらしいことを言ってますが、よ~く聞くと何言ってるか意味が分からない。
難しい言葉を使いたがるお年頃感。
でも、途中出てくる文化祭紹介も、このデジカメ・タッチ。
文化祭の雰囲気を表すのに、よくも凝ったセットと大量のエキストラを使ったもんです。贅沢なシーンですが、ストーリーには貢献していないかなぁ。
で、長回しの登場人物紹介シーン。
幾つもの教室。
大勢のエキストラ。
いいシーンです。
メインキャストは、映画初出演はセリフあり、ここは良い。
知られた俳優は顔見せ。
これは・・・・・・やりすぎかな・・・・・・気持ちは分かりますが、わかりにくすぎ。
ペ・ドゥナ登場。
先生役の藤井かほりとの絡み。
長身のドゥナに対抗するように、長身の藤井かほり。
先生の方が小さいと、ドゥナの孤独感が出にくい。
ナイス・キャスティング。
勿論、良い女優ですよ。
そして、前田亜季と「電気ブラン」の絡み。
前田亜季が良い。
普通っぽい。
女子高生っぽい。
ここら辺一手に引き受けてこなしてます。
その後の香椎由宇メインのシーン群。
バンドの中心メンバーだけど、リーダーシップがあるんだか、ただの我儘娘なのか、っていうところが良く出てます。
そして、問題のシーン、
「この前の道。最初に通った人がボーカル」
って、そういう映画だったんですか。
と思わせて、三村恭代登場。
前田亜季にボーカル復帰を頼まれて、ちょっと嬉しそう。
でも、香椎、
「ブルーハーツ嫌ならいい」
と拒絶。
二人の睨み合いが良い。
香椎の強い目に負けない三村の目。
おいおい頑張ってるなぁ。
「チルソクの夏」からは想像できない。
香椎の目に勝てるのは栗山千明くらいでしょうに。
もっとも香椎と栗山が睨み合ったら、ホラーかバイオレンス映画
になるけど。
そこに、引きでドゥナ登場、
「ソンさん、バンドやらない? 」
「ハイ」
「ボーカルでいいよね? 」
「ハイ」
って、おいおい。
・・・・・・
「ダメ! 絶対無理」
映画のトーン決定。
忘れられないシーンです。
と、このままいったら、全部紹介することになってしまう。
要は、この映画、作りもいいけど、いいシーンが多いんです。
私、普通は映画全体のつくりに目が行って、特別好きなシーンっていうのは少ないんです。
でも、この映画は印象的なシーンが多いんです。
それを幾つか紹介しましょう。
前田亜季が自宅でドラムの練習。
洗い髪にジャージ、大きなメガネ。
ジャージ姿だと○○体型・・・・・・はどうでも良いとして。
同級生から電話。
ぶっきらぼうな返事の仕方。
そりゃ家だもん。
で、どうも意識している子。
固定電話を取ると、コード一杯に引っ張って身を隠す。
こりゃ、声も口調も変わるな。
メガネも取るか・・・・・・取らなかった。
良し。
昔の日本映画ならやりそうなんです。
でも、やったらやりすぎ。
このシーン、ごく普通の光景です。
どこの家でもありそうな。
でもね。
第三者的に見ると、妙に可笑しい。
この映画の笑いのトーンが良く出ている。
次にペ・ドゥナ。
カラオケ屋さんのシーン。
「飲み物をオーダしないと歌えない」
「それ、おかしいよ」
「そう、まぁ、そうなんですけど・・・・・・」
店員も考えてみれば、おかしいことに気付く。
固定概念は第三者から見れば奇妙なんです。
そして、ドゥナの歌。
曲に乗れない。
日本語が遅れる。
感情が乗っていない。。
日本人歌手が歌う英語歌詞も、ネイティブが聞くとそう聞こえるんでしょうか。
いつのまにか、コリア語で"Can you cereblate"
確かにうまくはないけど、日本語歌詞よりはるかにうまい。
生き生きしている。
感情が乗っているのが分かる。
ネイティブの強さか。
他にも、いつも最後尾を歩いていたドゥナが、クライマックスに向かうに従って、先頭を歩くようになる。
有名な「パンツ見えてる」のシーン、
とか、まあ他にもあるんですが、こんなところで。
さて、疑問に思った点もあげましょう。
まずは、ドゥナが初めて「リンダ リンダ」を聞くシーン。
自分では気付かないけど泣いてる。
いいシーンです・・・・・・が。
あれ、初めて聞いた時は泣けないでしょう。
何度か聞けば、ドゥナの心境に近いでしょうから分かるけど。
実際のペ・ドゥナは初めて聞いたとき大爆笑だったそうです(彼女、元々日本語が少し分かるからでしょう)
それとも何度も聞いているという設定なのかな?
それと、手の内を晒している点ですね。
最後の演奏は三曲、
リンダ リンダ、
僕の右手、
終らない歌
の予定です。
結果から言えば、遅刻して「僕の右手」は歌われない。
だから、練習シーンの多くは「僕の右手」。
ドゥナの上達を示すシーンは「僕の右手」をワンコーラス。
「終らない歌」は触りだけ。
理解できる演出です。
でも、「リンダ リンダ」、歌いすぎ、鼻歌は良いけど。
印象が薄れました。
最後の盛り上がりに水を差したかも。
ん、盛り上がり?
最後のコンサート、ドゥナ達が遅れているのに、誰もあせらない。
あせらないのに、繋ぎで歌う人が出てくる。何で?
ここ、湯川潮音が面白い。
緊張して、山崎優子に、小声で、
「お酒」
「え? 」
「お酒」
って、一気のみ?
清純なイメージ崩れる。
歌声は清純だけど。
これが代表的だけど、最後の方、妙なギャグが幾つか出てくる。
不自然とまでは言えないんですけど。
結局、監督は最後の歌を盛り上げる気がないのか。
ないんでしょうね。
終盤やたらベタな演出をたたみ込んだのに、最後の最後を盛り上げない。
そうはいっても、歌を聞いてるメインキャストの表情を、順番に撮っている絵を見ると、これはこれで良いのかもしれないと思わせる。
でも、分かりにくい演出だなぁ。
この映画は、元々「ブルハサウルス17」という企画で、複雑な家庭環境で、かつ留年して孤立している少女(映画では山崎優子が演じている役に相当)と陸上に情熱を傾けている少女(香椎の役に相当)の友情の物語を縦糸に、他のバンドメンバーの様々な事情が絡む起伏にとんだストーリーだったそうです。
で、全編ブルーハーツの曲だらけ。
ただ、最初の脚本は製作費がかかりすぎるなど、多くの障害にぶつかったそうです。
それで、脚本を一旦白紙に戻し、孤立する少女を留学生に置き換えて、ストーリーをシンプルに作り直したのだそうです。
留学生をメインにするのは極めて難しく、大冒険だったと思います。
出ずっぱりですから、日本人俳優を使うとボロが出るし、
実際、舞台では失敗しやすいそうです。
例えば、韓国の方はご飯とスープはスプーンで、副菜は箸で
食べます。
でも、日本人俳優だとセリフを言いながらの場合、うっかり
箸でご飯を食べてしまうそうです。
この映画は海外配給が製作の条件になっているので、日本人が
気付かなければ良いとはいかないんです。
韓国の女優を使うと言葉が聞き取れない可能性が出ますから。
良い女優に巡り会えて良かったとしか、言いようがないのかもしれません。
なお「スウィングガールズ」の大ヒットの後に登場したため、その亜流企画と思っている向きもあるようです。
この映画の企画は2002年の第1回日本映画エンジェル大賞(要は映画ファンドの企画募集)の受賞作で、企画のスタート時期は、「スウィングガールズ」とほぼ同時期です。
映画化が遅れたのは、脚本を一旦白紙に戻すなど、製作準備が難航したためのようです。
さて、次は女優特集第3弾、行きますか。
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